ある回想:死んでておかしくなかったんだよ⑴!

毎年この時期になると、夜ビールを飲みながら、1年が無事終了したことにホッとすると同時に、今年も必要な人間なんだろうか?と思うのである。

そのきっかけになったのが昭和57年の、死んでておかしくなかったんだよ!と言われた開腹手術なのである・・・・・・・

240ZG深夜、私の赤い240Zに友人を乗せて国道16号線をつくし野から橋本に向かって走っていた。信号が、青になって発進し、ほとんど車が見当たらないので、注意しながら急加速し、時速90kmを超えた頃、お腹の「プチッ!」と胃のあたりが切れた音が、脳に聞こえた。

(これ、潰瘍って言われていた?のかどうかは記憶にないが、プチッ=胃の穿孔と思ったね。プチッ!と言う音は耳からではないんだが、はっきりした音で、頭の中に響いた音ですよ)

すぐに車を止めて、

――――運転代わってよと友人と運転を交代した。
――どうしたの?

と心配する友人に、お腹に穴が開いたようだから警察に行って。と頼んだ。警察ってどこだろう?友人も困っていた。私も腹痛がひどくなり説明する状況ではなくなった。

「すみませ~ん!警察はどこですか~?」と信号待ちで止まった車に、窓を開けて、ありったけの大声で呼びかけている友人の声がだんだん遠のいていく・・・

 
 
静かだ~、目が覚めた

車窓は何事もなかった様に静かである、お腹も痛くない、運転席に友人もいない、車のエンジンもかかっていない、

置いてかれたか~

車のドアを開け、下りようとしたが立てない、お腹は張って力が入らない、何とか這って車外へころがった。

車は16号線から路地にはいているらしく、車の音は聞こえない、動くたびに落ち葉がカサカサと音を立てる。誰もいない。街路樹が規則正しく並んでいるのが見える。街灯も見える。落ち葉が広がっている舗装道路の冷たさが背中に浸み込んでくる。しかし、意外と冷静だった。
・・・・・このまま死ぬのかなぁ・・・・・とぼんやり考えていた

こっちです。あそこです

 
横たわっている私の頭のほうから、友人の声が聞こえた。

・・・・友人は助けを求めにいっていたんだ、救急車も来ている・・・・
 

助かった~~~

すぐに救急車に乗せられて運ばれたのは、5分もかからない、16号線沿いにある病院であった。

状況を把握するために、レントゲンを撮るからと言うので、私は、正確に写真が撮れるようにと、痛いのを我慢して精一杯胸やお腹を張ったり胸を広げたりした。
写真は無事撮り終えたようである。 ここで、想像もしなかった言葉を聞いた。

もしもし消防ですか?こちらは黒△病院です、潰瘍で穿孔している患者さんが運ばれたんですが、先生が不在なんです。救急車をよこしてください。
おい!おい!おい!そりゃぁないだろう! なんてこった!噓だろう?(天国から地獄とはこのことだ)

お腹が張って息が苦しい!大きく息が吸えないので、気が遠くなりそうだ!
本当に喉だけで(?)呼吸しているようだよ!
 
苦しい、なんとかしてくれよ!
――――やり場のない怒りで、どうなるわけでもないんだが、文句を愚だ愚だしゃべっていた。

救急車まだですか! 患者さん苦しそうなので急いでください! 

 
そんな声もどんどん薄れていく・・・・・
 

今日の元気の灯