銀座の真ん中で拾われたダイヤモンド!

なんだ?と思われるでしょうが、これは実際にあった話である。

時は昭和10年7月2日、麹町区役所の清掃雇員 Aさんが、担当区域の
ゴミを積んだ荷車を引き、銀座松屋(現在とほぼ同じ位置)前の電
車道を、木挽町方面に横切ろうとすると、その軌道の石だたみの間
に、午前10時の明るい光でキラキラ光っているものが見えた。     

ガラスの破片か何かだろうとやり過ごしたんだが、気になって荷車
を止め、拾ってみると婦人用の指輪だったのである。

Aさんが、それをダイヤモンドだと知ったのは、築地警察署に持っ
て行ってから後のことである。

この指輪は、ある銀行の重役夫人が銀ブラをしていて落としたもの
で、警視庁に届け出がしてあったのですぐにわかったのだが、時価
二千円のシロモノとあって、 Aさんはお礼として現金二百円を貰い
ビックリ仰天したという。

それにしても、拾われたのが7月2日で銀ブラで落としたのが4月15
日だというので、約二か月半、ジッとそこにあったのか、跳ねられ蹴られしてそこまできたのか?
”銀座なのに” と ”銀座なりゃこそ” と、話を聞いた人の想いは様々、とあるが、” むかしならでは” の感が深い。今ならさしずめ、一億円の紙袋の落とし物ってところか!